スペインの日曜の朝はゆっくりだ。最終日ということもあって、チームの朝食時間も遅めの9:30だった。いつもより、1時間以上遅い。
朝食後も、出発までゆっくりできるので、選手もホテルのロビーでくつろいでいた。
『フレッチャ。今日が最後だね。僕たちは今晩バスクに帰るけど、君はいつかえるの?』そんな会話を交わした。
今回のレースでは、エウスカルテルチームと共に、天国と地獄を味わった。
チームリーダーのイゴール・アントンの暫定首位。
そして、首位のまま怪我による棄権。
それによって、新しく活躍の場が出来たミケル・ニエベの区間優勝。
区間優勝してからというもの、毎日多くのファンがサインを求めて列をなしていた。まさに、新しいスターが誕生した瞬間に立ち会った。
チームのエースにアクシデントがあったとき、スタッフのひとりが言った『これが人生』という言葉。
笑って、泣いて・・・でも最後に大きく笑った。
まさに、その言葉の表裏を見たような気がする。
レースが終わると、その日のうちに彼らの故郷、バスク地方に戻った。
今頃は、家族と共に過ごしているだろう。
・・・そうそう。
ひとつご報告。
今回のヴェルタ期間中に、エウスカルテル・エウスカディのチームオーナーのミゲール・マダリアガから、こんな言葉を貰った。
『フレッチャ。来年はツールとヴェルタ。7月と9月は我々と一緒に過ごして、写真を撮りに来るんだぞ』と。
スペインのバスク地方という、ごく限られたエリアだけの選手とスタッフだけで構成されたチームに、ひとりの日本人が同行した。
不思議なくらい、自然に共同生活をしていた。
選手もチームも、そしてオーナーも。
いつも快く迎えてくれてありがとう。
そんな気持ちでいっぱいだ。